第1回 蛤 ハマグリ hamaguri
春の象徴でもあるハマグリ。香り立つ潮やヨード香のほろ苦いニュアンス、火を入れたときのふわりとした甘み、そして身の弾力とジューシーな食感が特長です。
仕込は、貝の個性を引き出すために、まず殻付きのハマグリを蒸すことから始めます。酒を一滴、香りが立ち、貝が静かに開く瞬間を見逃してはなりません。身を崩さぬように丁寧に外し、蒸した時にこぼれた出汁とあらかじめ65℃で3時間に出した昆布水に浸けて旨味を戻し、封印します。
握りの仕上げには、煮汁と醤油、砂糖、日本酒を煮詰めてつくる自家製の「ツメ」です。香ばしく甘しょっぱい詰めだれの甘さが加わることで、ネタに奥行きを与えます。
おすすめのロゼ・シャンパーニュ

ペアリング・ワイン情報
- 生産者: ドラピエ
- ワイン名: ロゼ・ド・セニエ NV
- 希望小売価格: 9000円(税抜)
100%ピノ・ノワールの珍しいロゼ。
アッサンブラージュではなく、全てのピノ・ノワールを冷やしながら3日間マセラシオンしてうっすらとしたピンク色を得ている。その為、年によって色調は異なる。
フレッシュさと香りを大切にするキュヴェなのでステンレスタンクで発酵・熟成。5%だけ大樽で熟成させたワインを加える。36ヶ月瓶熟成。ノンフィルター。ドサージュ6g/L。
公式情報はこちら(Terravert)
ペアリングコメント
「ツメ」で仕上げたハマグリには、ロゼシャンパーニュを選択しました。
ロゼ・シャンパーニュでもピノ・ノワールの骨格と果実味が感じられるものをセレクト。
さらに、ミネラルを同調させるのがポイント。コード・デバールのキンメリッジ土壌(石灰質土)に由来する、ヨード香とミネラル感が絶妙なバランスで寄り添い、味わいの奥行きをもたらします。
さらに、甘しょっぱい「ツメ」にはシャンパーニュの酸味とほのかなほろ苦さが、口中での調和をもたらし、お互いにない味わいを補完します。
味や香りのみならず、季節や風土に合わせた説得材料もペアリングのストーリーを作る重要な要素だと思っています。ハマグリは、桃の節句の祝い膳に使われる縁起物として日本の食卓に彩りを添えてきました。ぴたりと重なる対の貝殻は、良縁・夫婦和合の象徴です。と考えると、添えたいのはやはりロゼ・シャンパーニュという柔らかな桃色が、春の訪れと祝祭の空気を感覚的に表現してくれるでしょう。


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