鮨とワインのペアリング
ハマグリ × ドラピエ
「ロゼ・ド・セニエ」
春の象徴でもあるハマグリ。
香り立つ潮やヨード香のほろ苦いニュアンス、火を入れたときのふわりとした甘み、そして身の弾力と余韻の美しさ――。
本記事では、この滋味深いハマグリに寄り添うロゼ・シャンパーニュの魅力を、調理法・味わい・文化背景の3つの視点から紐解きます。
第1回のネタは、春の象徴でもあるハマグリです。
香り立つ潮やヨード香のほろ苦いニュアンス、火を入れたときのふわりとした甘み、そして身の弾力と余韻の美しさ――。
貝の個性を引き出すために、まず殻付きのハマグリを蒸すことから始めます。酒を一滴、香りが立ち、貝が静かに開く瞬間を見逃してはなりません。身を崩さぬように丁寧に外し、蒸した時にこぼれた出汁と昆布水にもう一度浸けて旨味を戻し、封印します。
その後の仕上げには、煮汁と醤油、砂糖、日本酒を煮詰めてつくる自家製の「ツメ」です。香ばしく甘しょっぱい詰めだれの甘さが加わることで、ネタに奥行きを与えます。

ペアリング・ワイン情報
- 生産者: ドラピエ
- ワイン名: ロゼ・ド・セニエ NV
- 希望小売価格: 9000円(税抜)
100%ピノ・ノワールの珍しいロゼ。
アッサンブラージュではなく、全てのピノ・ノワールを冷やしながら3日間マセラシオンしてうっすらとしたピンク色を得ている。その為、年によって色調は異なる。
フレッシュさと香りを大切にするキュヴェなのでステンレスタンクで発酵・熟成。5%だけ大樽で熟成させたワインを加える。36ヶ月瓶熟成。ノンフィルター。ドサージュ6g/L。
公式情報はこちら(Terravert)

1. ミネラル × ヨード香の同調(Aroma Harmony)
ロゼ・シャンパーニュでもピノ・ノワールの骨格と果実味が感じられるものをセレクト。
ミネラルをリンクさせるには、コード・デバールのキンメリッジ土壌(石灰質土)に由来するヨード香とミネラル感が絶妙なバランスで寄り添い、味わいの奥行きをもたらします。
2. ツメの甘しょっぱさと酸・ほろ苦さの補完(Flavor Completion)
甘しょっぱい詰めだれには、シャンパーニュの酸味とほのかなほろ苦さが補完し、
口中での調和をもたらします。
3. 春の祝い × ロゼという文化的シナジー(Sense & Culture)
ハマグリは桃の節句の祝い膳に使われる縁起物。
ぴたりと重なる対の貝殻は、良縁・夫婦和合の象徴です。
ならば添えたいのはやはりロゼ・シャンパーニュ。
柔らかな桃色が春の訪れと祝祭の空気を感覚的に表現してくれます。
まとめ
- ハマグリの旨味を引き出す蒸し調理とツメが、ロゼ・ド・セニエの骨格・ミネラルと重なる
- ヨード香と石灰土壌のミネラルで“味わいの同調”が起きる
- ツメの甘さ × ロゼの酸で“補完の方程式”が成立
- 桃色のワインが持つ祝祭性が、ハマグリの文化的背景と符合する

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